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2011.03.16

ル=グウィンさんから、日本の読者へのメッセージ

 昨夜、友人である翻訳者の谷垣さんからル=グウィンさんからのメッセージが公式サイトに掲載されていることを教えていただきました。

 

 それはとても心のこもった言葉でした。昨夜ツイートした瞬間から、たくさんの方にリツイート、リプライ、ファボをいただきました。

 

 谷垣さんがそのメッセージを、ル=グウィンさんがこのメッセージを伝えたい人、このメッセージによって力を得られるかもしれない人に伝わることを願って日本語に訳されました。

 

 許可を得て掲載します。

 

 ル=グウィンさんのメッセージ原文はこちらです。アーカイブ3/14 → 

 

 -----

 

わたしの翻訳者で友人のアケミ・タニガキ(東京在住)に短いメールを送った。返ってきたメールはこういう書き出しだった。

 

「心配してくださってありがとう。
わたしは大丈夫で、家族もみな、大丈夫です。
だけど、とても悲しくて、無力感と心配でいっぱいです」

 

 そして、そのメールには、日本のあなたの読者にあてた簡単で短いメッセージを公式サイトに載せてもらえないか、と書いてあった――「非常につらい目にあっている人たちにかける言葉を見つけるのが、とても難しいのは、よくわかっていますけれども」
 そのとおりです、アケミさん。それは難しい。不可能だと言っていいぐらい。でも、せっかく頼んでくれたのだから、がんばってやってみます。

 

 

日本の読者の皆さんへ

 

 

 

 わたしたちとあなたがたの間には海があります。でも、その海で、わたしたちとあなたがたはつながっています。

 

 日本を襲った大津波は海を旅しながら、だんだん弱くなり、アメリカの西海岸に達しました。それはここではほとんど害をなしませんでした。けれども、あなたがたの悲しみと苦しみが大きな波となって、その小さな波とともに、わたしたちに届きました。

 

 こちらではたくさんの、とてもたくさんの人が今、あなたがたのことを考え、あなたがたのために泣き、最悪の時が早く過ぎ去るように祈っています。そのことをどうか知っていてください。

 

 このように大きな喪失の悲しみ、苦しみ、不安のさなかで、日本のごくふつうの人々が示す静かな勇気に、わたしは言葉にできないほどの賞讃をおぼえます。
あなたがたのしっかりとした、忍耐強い顔を見ると、その美しさに打たれます。ひとりひとりの顔に目を向けると泣けてきます。あなたがたに力がみなぎり、よ
りよい明日への希望を胸に抱けるよう願っています。

 

 

愛をこめて
アーシュラ
2011年3月14日

 

(翻訳:谷垣暁美)

 

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コメント

ニルギリさん

コメントとリンク、ありがとうございます。同県人ですね

私の住んでいるところも、内陸にあたるので、沿岸部に比べると被害は少ないのですが、それでも同じ地区では液状化で家が傾き住めなくなった方もおられます。
いまでは、天気予報をみるように、日々の環境放射線の値と風向きをチェックしています。本当に3月11日前が遠い昔のように思えます。

とはいえ、前を向いていかねばなりません。
ル=グィンさんの言葉には、自然のもたらすものの大きさを感じます。言葉に支えられながら、これからも一日一日過ごしていかなくては。

と、独り言のようなレスになってしまいました。
私もブログにおじゃましますね。

はじめして、福島県在住のものです。
私は幸い大きな被害もなく、原発の避難地域からも外れていますが、事の大きさ、そして先の見えない状況にどう対処して良いのか、思い悩む日々を送っています。

メッセージの紹介、そして翻訳ありがとうございます。ル=グィンさんの作品は、子どもの頃から好きでした。
多くの方に読んで欲しいとのことですので、私のブログからリンクさせて頂きました。

t-mitsunoさん

 お礼が遅れましたが、トラックバックありがとうございました。取り急ぎ公開は先に済ませています。ツイッターも気づくのが遅れてごめんなさい。いま、フォローしました!


ぱせりさん

 リンクありがとうございます。多くの方に読んでいただくのが、ル=グィンさんと谷垣さんの願いなので、ありがたいです!


髭彦さん

 遅くなりまして申し訳ありません。トラックバックありがとうございました。ル=グィンさんの言葉には力がありますね。
 髭彦さんの歌も力を感じます。写真もすてきですね。


いぬさん

 お礼が遅れましたが、ご紹介ありがとうございます。同じココログ仲間ですね(^^)
ル=グィンさんにも谷垣さんにも感謝、深謝です。


あでりさん

 九州からおかえりなさーい。谷垣さんもすぐさま翻訳してくださり、ル=グィンさんとおふたりに本当に感謝です。ずいぶんなぐさめられました。
 児童書や漫画も必要としている子供たちに届くといいですね。仙台のジャンプ1冊に100人の子供たちが立ち読みという記事を読み、漫画も本当に大事だと思いました。続きが気になる漫画が読めないのもつらいものですものね。

しばらく故郷九州に出かけていて、ようやく帰って来ました。
東北方面の友人数人の様子が気になっていたのですが、さかなさんちもご無事で良かった!しばらくご不自由だと思いますが、どうぞお気を付けて。こちらから何かできることがあったら教えてくださいね。とりあえず、杉山亮さんたちが児童書を送る運動を始められたそうなので、送る本の用意をしようと思っています。
ル・グインのメッセージ、ありがとうございました! 夫に教えられて検索したら、さかなさんのブログをみつけました。谷垣さんのお骨折りにも感謝します! ありがとうございます!

さかなさん、ご紹介ありがとうございます。
私もこの記事を自分のブログで紹介させていただきたくお願いいたします。翻訳された谷垣暁美さんにも感謝しつつ。

西の善き魔女さん、ありがとう!

はじめまして。
ル=グウィンの素晴らしいメッセージを、ありがとうございました。
長年の一読者として、福島第一原発の3キロの町を生まれ故郷とする者として、心に深くしみいり、拙い歌を詠みましたので、TBをさせていただきました。

さかなさん、
ご紹介ありがとうございます。
この記事、わたしも、自分のブログにリンクを貼らせてください。(普通のおばさんの過疎ブログですが)

どうかご無事でお過ごしくださいませ。

ル・グウィンさんのメッセージをご紹介いただき、ありがとうございました!
できるだけ多くの方に読んでもらいたく、ブログで紹介させてもらいました。
いままでの習慣でトラックバックをつけましたが、ネット上の操作が大変だと思いますので、承認>公開の作業はしてくださらなくていいですからね。
それより、ここやツィッターで発信続けてください! 私はツィッターは使い方がよくわからないのですが、とにもかくにもさかなさんをフォローするために登録済ませました。
t-mitsuno

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