« 11月28日の覚書、その2 | トップページ | 今日のごはん »

2015.12.01

みすず 二〇一五年十一月号より

大井玄氏による
 老年は海図のない海4 地域ケアの手を読む。

 ひとは誰しもが、それぞれの物語の醸し出す意味の網をつむぎ、その「意味の世界」に住んでいる。それは認知能力低下の有無にかかわらない。
(中略)
 「意味の世界」に入るには、普通、なにかのパスワードを必要とする。それは民謡や子供のの時になじんだ歌だったり、趣味の俳句や和歌だったりする。いずれにせよ、本人が気持ちよく、誇らしく、うれしく感じるようになる言葉であり、文言であり、メロディである。それが見つかると、時として劇的な反応が現れる。
(中略)

 認知症高齢者と向き合うには、本人の住んでいる「意味の世界」を推察し、そこに一緒に住む覚悟が要求される時がある。本人がどのような人生の戦いで傷を負ってきたかを知り、その傷の痛みから気をそらしてあげる思いやりは、戦場に設けられた野戦病院で、負傷してきた兵士に応急措置を行うのにも似ている。しかし、老齢の負傷兵には、完全回復の見込みはもうないのが、手傷を負った若者とは、違うのである。

以上、引用。

« 11月28日の覚書、その2 | トップページ | 今日のごはん »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: みすず 二〇一五年十一月号より:

« 11月28日の覚書、その2 | トップページ | 今日のごはん »

2024年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ