安野光雅さん
安野光雅さんが2020年に亡くなられた。
中学の時に知った絵本が『旅の絵本』
中学2年の3学期という、中途半端な時期の転校生だったので、友達を積極的につくろうとも思わず、一日誰ともしゃべらない日が何日続くだろうとひとりゲームをしていた。
いとこからのお下がりの制服はちょっと手が入っていたため、不良と勘違いされたのもある。カバンもぺっちゃんこだった(笑)
けれど、なんのタイミングだか、『旅の絵本』を教えてもらった子と仲よくなった。
父親と猫と一緒にくらしている彼女は、いまでいうネグレクトの父親のもと、食べるものも毎日はない状態だったけれど、私も生活困窮の家庭だったので何もできず、でも彼女は猫がいるから大丈夫と言っていた。
『旅の絵本』はそれはすてきな絵本だった。いろいろな物語がかくされていて、旅人が見開きページのどこかで旅をして、時には休憩して、どんな物語が隠れていて、どこに旅人がいるかなんども話をした。
安野さんの『旅の絵本』を追いかけるように読まなくなったのは、いつからだろう。
でもいまでも家の本棚には置いてあるし、亡くなったときに手にとった。
なつかしさでへんてこな気持ちがわいてくるようだった。
なつかしいというのがめんどくさくも思えてきた。
今年はずいぶん「老い」を感じるようになった。
もちろん、現代ではまだ中年と老いの中間くらいなのだけど、30年くらい前のことをよく思い出す。
30年も前のことなんだといちいち驚く。
自分の知ってる自分を思い出すのはめんどくさいに近い気持ちになることを知った。
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