書籍・雑誌

2005.03.26

モツ、背徳、句歌詩帖

▼3000円の図書券を入手して以来、何を買おうかなとちょっとわくわくしながら日々考えていた。お金を足して『モツ・キュイジーヌ』にしようかとか、多田智満子さんの歌集にしようか、などと。しかし、悩んでいるうちに、ついマンガ『ヒストリエ』(岩明均)を2巻買ってしまった。でもその後、また1000円の図書券が手に入り、あらためて3000円分の本に思いを馳せていたところ、つれあいが仕事用にと『PHP5徹底攻略』を求め、たまたま図書券があったので、お金を足してそれで購入。残り500円になったので、あっさり雑誌「ku:nel」にしてしまった。書店では「ku:nel」のような雑誌、「mellow」があり、本当に中身もよく似ていた。スローな食事レシピ、ふつうの人のごはん、などなど。

▼「ku:nel」に連載されている江國香織さんと妹さんとの往復書簡で、それぞれお気に入り本をあげていた。江國香織さんの方が、こういう一文を見つけましたと紹介しているのが、『天使の背徳』(アンドリュー・テイラー・越前敏弥訳・講談社文庫)。近々読む予定の本なので、その一文を見つけるのが楽しみ。なるほどと同感してしまう文なのでした。

▼句歌詩帖「草藏」第20号が届く。すばらしく美しいこの「草藏」は俳句、短歌、詩の総合誌で、詩の選をしている方が古くからの知り合い。その方の詩を読む楽しみと、俳句、短歌も同時に味わえるので、到着を楽しみにしている。ページを開いて最初に読むこの言葉がとても好きだ。

ねがわくは
句と歌と詩の言葉が
草ほどの光栄を纏うて
われらが書の藏に
入らんことを
   佐々木六戈(ろっか)

2005.03.15

マレクとマリア

▼『マレクとマリア』(ヴァルトラウト・レーヴィン作 松沢あさか訳 さ・え・ら書房)読了。空襲の夜に逃げ回る描写がすごい迫力でした。ちょっと息をつめて読んでしまい、大きくため息。許されない恋と戦争、翻訳児童文学ならではの1冊。

▼今月の読まなくてはいけない本を7冊読了。

▼先日、「飛ぶ教室」が新装復刊と書いたが、「子ども+」は20号で休刊。5年ですね。

▼「四季の味」春号をゆっくりゆっくりながめている。真澄を飲んでみたいなぁ。白子おろし飯は、白子を手に入れたらぜったいつくってみよう。畳鰯食べたい、といろいろ心にメモ。

2005.03.05

あれこれ

▼児童文学雑誌「飛ぶ教室」がこの春に新創刊される。いしいしんじさんの食日記で、いしいさんもケストナーに寄せる手紙を書いているという。刊行が楽しみ。

▼友人から「クウネル」の創刊号と「アルネ」の10号と『薔薇の荘園』(トマス・バーネット・スワン/風見潤訳 ハヤカワ文庫)をいただく。「クウネル」は今よりもっとカタログっぽかった。「アルネ」は「クウネル」に似ていた。雑誌に掲載されている写真の空気が似ているように思えた。小さくて品良く。この号では村上春樹さんの家の様子が撮影されていて、ミーハー的に見入る。その他に、カプチーノの写真がおいしそうで、デザインカプチーノを飲みたくなった。『薔薇の荘園』は後ほどじっくりと。

▼「母の友」1月号から3月号を図書館で借りて読む。3月の特集は「子どもとインターネット」で、数日前に配信された福音館のメールマガジンで松居さんが必読ですとすすめていたので、読む。インターネットに詳しいとされるお二人の書かれた文章を読み、ご自身のつくられているというサイトを見てみたが、両方ともほとんど更新されていない。

▼午後2時頃にちびちゃん発熱。あったかくして水分とってお布団で眠る。はやくよくなぁれ。子どもの発熱は風邪症状があっても急に発熱したように思えてしかたない。上2人はさっきまで元気でボクのことたたいてたのに、と不思議そうにしていた。

2005.01.05

雑誌いろいろ

「harappa」05号が読み初め雑誌。特集は“基地をつくろう”。大人になってから私にとっての「基地」はずっとネットにあったような気がするなと思った。楽しみに読んでいる記事は「はらっぱハウスのつくり方」。任意で集う人たちをつなげる場、そういうもののつくり方って、いつも興味があるので。ユリイカは2004年の1月号も石井桃子さんのインタビューがのっている特集「クマのプーさん」にひかれて購入した雑誌。2005年1月号の特集は「翻訳の作法」。届いたばかりでまだほとんど目を通していないのだが、大アンケートをちらほらと読んでいるところ。質問は4つで、1つはあなたが「名訳」とお考えになる邦訳書と、その理由を教えてください。2つめは翻訳にあたって、特に心がけていらっしゃるのはどういうことでしょうか。3つめはご自身の翻訳のなかで、あそこは苦労した、我ながら名訳だった、誤訳だったかな(失礼をお許しください)等々、特に印象ぶかい箇所とその理由を教えてください。最後の4つめは、いつか、あれを訳してみたいという本がありましたら、教えてくださいませんか。というもの。文字数制限がなかったらしく、ひとりでこの4つの設問に6頁にわたって書かれてる方もおられて、読みごたえがすごくある。

今日は一日雪がふっていた。それでも、大雪とまではいかず、我が家のけいてぃーもまだ出番はない。

2004.12.06

バートン

今月の「ku:nel」に、ヴァージニア・リー・バートンの記事が掲載されている。タイトルは“絵本『ちいさいおうち』のふるさとを訪ねて”。2004年、今年はこの『ちいさいおうち』の日本語版50年を記念し、バートンの伝記『ヴァージニア・リー・バートン』や、『はだかの王さま』、『びゅんびゅん きしゃをぬく』が刊行されている。伝記の方は写真たっぷりで、絵本作家としてのバートンばかりではなく、フォリーコーブ・デザイナーズの仕事についても丹念に記されている。「自分たちの手で美しいものを生み、それで家を飾りたい」と願っていた主婦たちが、バートンからデザインを習い、そのデザインをリノリウム板に描き、さらにナイフで彫って版木をつくる。どの課程も手間をかけ、厳しい基準を経て、形になっていく。この主婦たちの仕事が評判になり、展示会もひらかれるようになり、全米に名を馳せていく。「ku:nel」でも、このフォリーコーブ・デザイナーについてたくさんの写真で紹介していて、目が楽しくなる。バートンの絵本で子どもたちが好きなのは、『はたらきものじょせつしゃ けいてぃー』と『名馬キャリコ』。そして未訳の"Song of Robin Hood"。バートンの絵は、ベタな言い方しかできないけれど、本当に美しくてうっとりして、幸福な気持ちになる。

2004.10.27

物語を

考える人」を求めたのは、Blue Boxさんに石井桃子さんの記事が載っていることを教えていただいて。この雑誌は、創刊号の時に求めたきりで、買う機会がなかった。特集が「子どもをめぐる耳よりな話」というのにも惹かれた。まだすみずみまで全部読んだわけではないが、どの記事も読んでよかったと思われるものばかり。おいしいごはん日記を書かれているいしいしんじさんも登場して、めんこい子どもたちがわさわさと写っていた。バイオリン製作者のインタビュー、子どもの読書を応援する書店メリーゴーランドの増田さんのインタビュー(「本屋に泊まる」イベントの写真がいい。うらやましい!)、子どもの靴専門店オーナーのインタビューもおもしろかった。子どものためにと、体操教室はここ、塾はこことカタログでよいものを取り寄せるように専門家にまかせたがる(まかせて安心したがる)が、親が子ども全体を見てやらなきゃと言われていた。体だって、足だっていろいろなサインを出しているから、と。そして何よりよかったのが、梨木香歩さんの「ぐるりのこと」。そういえば、『村田エフェンディ滞土録』(角川書店)はこの雑誌で連載されていた。「ぐるりのこと」は今回が最終回で私ははじめて読んだ。エッセイのようで、日光の植物園に行った折、秋に少し早い時期の雨にあたり、百人一首で有名な寂蓮法師の歌と宮沢賢治の詩句を引いて、こう書いている。

時代を超えて、皮膚は同じ感慨を訴えている。皮膚一枚通して内側と外側が少しずつ交流を始めるような、そういう気配。
 肌身が経験する、圧倒的なリアリティの中へ参加している、という感覚は、私にいつでも、未だかつて語られたことのない言葉を使いたい、と強く欲求させる。そうでなくてどうしてこの、常に新しくあり続ける「今、この瞬間、この場所で」というリアリティが表現できるだろう、と。
ほかには、平松洋子さんによる韓国港町デジカメ日記もすっごくおいしそうだった。雲丹とわかめのスープ、キジのレバー、スープ、お焦げ湯スンニュン、ピビム冷麺などなど。あぁ、いつか韓国に行って食べたい。参考になったのは、山川みどりさんの「六十歳になったから」に書かれている日々つれづれエッセイに、人は一日に最低17分は対話するほうがいいそうという言葉。なるほど。まだ60歳までには間があるけれど、参考にしようと思った。


地震、台風被害、胸が苦しくなるようなニュースが続く。中村びわさんのブログで、整理された情報を読み、わずかながら義援金を郵便局から送金。

2004.09.22

雑誌

きょうの料理」は通巻500号。創刊号表紙写真を表紙に組み込んでレトロにしている。いまは料理雑誌でなくても、手頃なレシピが載っているのがいくつもでているが、やはり何にしようかなとバックナンバーも含めてよく読むのはこの雑誌だなあ。1年の索引が掲載される3月号は欠かせないのだけど、この号を買い忘れると、その年のバックナンバーを開く可能性がすごく少なくなってしまう。というあたりまえのことに気づき、3月号は忘れないように心がけている。小林カツ代さんのヒカヒカエリンギごはんは、料理にともなうドラマとともにおいしそうで、すぐつくりたくなる。ほかにつくってみたくなったのは、「大根とかきのソテー」、「大豆とごぼうの和風ピクルス」。さて、いつつくるかな。

買ったり買わなかったりの「ku:nel」ですが、こちらも今号は創刊1周年ということで、買いました。表紙のインコ(後日、おかめいんこと教わる。thank you!>Mさん)がかわいらしくて。ジュンパ・ラヒリのインタビューも掲載。子どもの頃の読書体験としてどんな本を読まれていたかで答えていた本が、へぇ! この雑誌も小さいレシピがいくつも載っていて、高橋みどりの伝言レシピが好き。素パスタがのっていて、パルミジャーノチーズのおいしいのをどこで手に入れたらいいんだろうと思案。長尾智子さんの「フード&クラフト」記事内の小さな写真、馬場春穂さんの白磁がきれい。ネットでぐぐってみても、こういう白磁を見つけることができなかった。

テレビのうつりにくい地域に住んでいるので、スポーツもテレビ観戦をほとんどしない。オリンピックも新聞やネットで情報を読んでいたくらい。時折、ニュースダイジェストでみることができた。月刊「バーサス」は今月創刊されたスポーツ雑誌。書いた人が誰だかよくわかる記事がずらり。“長谷川滋利「人生の成功」への7カ条”をおもしろく読んだ。

個性的なプレーヤーが集まるメジャーリーグの世界にあって、他人との差別化を図ろうとするあまり自分の個性を失い、この世界を追われてきたプレーヤーは枚挙にいとまがない。逆に、長谷川は当たり前のようにアメリカに移住し、英語を繰り、自分の能力を高めてきた。言い換えれば、他の選手と同化することで、自らのアイデンティティを築き上げてきたといえる。

GRAPHICATION」も到着。まっさきに読むのは「東北を歩く」。今回は福島県檜枝岐村がとりあげられている。著者、結城登美雄さんの『山をに暮らす、海に生きる』を読んで以来、書かれたものを機会があれば読むようにしている。ここ、檜枝岐村の農村歌舞伎をいつか見てみたい。今号の特集は「演芸を愉しむ」。あぁ、演芸見に行きたいなあ。名古屋の「ロック歌舞伎は名古屋在住時、毎年見に行ってました。ビール飲みながら、お弁当食べながら、華やかで楽しい舞台を堪能したものです。

2004.08.26

harappa

雑誌という形がとても好きなので、いつもおもしろいのはないかなと思って探している。いまよく読んでいるのは、「harappa」。04号がでたので早速ゲット。執筆者の上野瞭という名前があり、えっと思う。あの上野瞭? そう、月刊「絵本」1975年11月号に書いた記事が掲載されていたのだ。「なぜ猫なのか…ということ」と題された文章はまさに上野氏のもので、愛猫家として猫が好きではないということも含めて、久しぶりに上野氏の文を読んだという満足感。最後に読んだ上野氏の文章は「みすず」2001年4月号の「越境の文学」と題した高見広春の小説について論じたものだった。

記事でもうひとつおもしろく読んだのは、「はらっぱハウスのつくりかた」。スタッフメンバーが3人続けて退会した痛いできごとを書きながら、場をつくっていくことのしんどさと楽しさが伝わってくる。好きなことを場にして、人を募り形にしていくのはむずかしい。でも楽しみがあればのりこえられるんだよね。次号も楽しみです。

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