2017.07.17

唐詩和訓

特集が「詩のあるところ」なんて、すてきすぎます。

イチオシは訳・解説されている横山悠太さんの「唐詩和訓」

横山悠太さんも不勉強ながらこの雑誌で初めて知った次第。
小説家で現在は北京在住。

「日本人は漢詩を読むとき、それを書き下して読んできました」
そう、その通り。

横山さんは、今までの書き下しとは少し趣向の異なる訳し方をされています。それを「和訓」と称しているのです。

五言詩であればニと三の間、
七言詩であれば四と三の間で意味が切れるので、
それらを二字と三字、或いは四字と三字の一まとまりの漢語とみなし、それぞれに七音の和語(わかりやすい日本語)をルビのように当て、それを詩の意味が徹ように全体を整えています。

大修館書店のWEB国語教室横山さん自身が上記記の説明がされています。

この和訓がすばらしくよいのです。
雑誌では韓愈の5首が紹介されていますが、その1首の和訓部分を書き出してみます。

いけはみそらの あおさをうつし
みずをそそげば なみもうまれる
よがふけつきの かくれるころに
いけにゆらめく ほしをのぞく

漢詩ってよいなと思う和訓ではないですか。

ぜひこれで一冊の本を編んでほしいものです。


2013.08.31

たのしみは

橘曙覧の「たのしみは」ではじまる短歌をちぃが小学校で勉強してきたようです。

たのしみは 家に帰って 水のんで ベッドの所に よりかかる時

たのしみは ベッドから起き 学校へ イスに座って 外を見る時

たのしみは 朝起きてから 背をのばし 家族といっしょに 会話する時



学校で「たのしみは」ではじまり「~時」で終わるようつくってみましょうとなったようです。
これを読んでいると、ちぃのたのしみはぼうっとしたり、のんびりしたり、みたいですね。


2011.07.01

声にだして読む

ブローティガンの詩集を購入。

読んでいると、ちぃちゃんが私も読むといってきました。
いま、国語の時間に小林一茶や蝉丸の歌をよみ、毎日音読できかせてくれます。
毎日読んでいるのですっかり丸暗記しています。

私が声に出してブローティガンの詩を読んでいると、
ちぃちゃんも興味をもったらしいのです。

いくつか読んで、ちぃちゃんのお気に入りは「一九三九年」
やわらかい頭ですぐ覚えてしまい、夜にはつれあいにもきかせています。

私が好きなのは「宿業修理キット 一項から四項まで」

三 汝自身の静寂に達するまで
  知的感情的騒音を低減せよ
     しかしてその静寂を聴け。

今回は三度目の文庫化。池澤夏樹氏のあとがきも3回分収録されています。


チャイナタウンからの葉書 (ちくま文庫)

2009.11.06

おちば

おちばって
いろんな形に
いろんな色、

ざらざら
さらさら、

小さいのや
大きいの、

あきのにおいで
きれいだな。

----
ちびちゃん作

2009.10.06

詩は酒の肴になる

考える人 2009年 11月号 [雑誌]

「考える人」の最新号、丸谷才一さんのインタビュー記事がおもしろいです。聞き手は『須賀敦子を読む』を著された湯川豊さん。詩が中心の時代があった時代について具体的に話しをうかがいたい、そういう切り口ではじまっています。

堅苦しくはじまっているのではありません。最初に紹介されているものも、優雅なポルノ。丸谷さんが訳される言葉の芳醇なこと。直訳風に訳されたといわれているけれど、にやりと読ませます。韻律やレトリックにふれながら、最初に引用している詩は大岡信の「地名論」。すばらしいとほめている詩人は、多田智満子、入沢康夫、萩原朔太郎、中原中也。引用は萩原朔太郎の「天景」です。丸谷さんは、文房具屋さんで万年筆を書くときの試し書きに、この「天景」の「しづかにきしれ四輪馬車」を書くとか。

天景

 しづかにきしれ四輪馬車、
 ほのかに海はあかるみて、
 麦は遠きにながれたり、
 しづかにきしれ四輪馬車。
 光る魚鳥の天景を、
 また窓青き建築を、
 しづかにきしれ四輪馬車。

萩原朔太郎詩集 (新潮文庫)

「詩は酒の肴になる」は吉田健一さんのこと。

丸谷 吉田さんは、一杯飲んでるとき、丸谷さん、あなたの好きな詩はどんな詩ですか、みたいなことをいう。僕が英語の詩で覚えているのを数行、十六世紀のトマス・ナッシュの詩かなんかをいうと、ああといって、くちゅくちゅと口のなかで繰り返す。そして、ああきれいだな、とかいって喜ぶ。カラスミとかウニを食べるような感じなんですよ。詩が酒の肴になるのね。僕はなるほど詩というものはこんなふうにして楽しむものか、と思いました。

2009.08.06

日ノ暮レチカク/原 民喜

日ノ暮レチカク
眼ノ細イ ニンゲンノカホ
ズラリト川岸(カシ)ニ ウヅクマリ
細イ 細イ イキヲツキ
ソノスグ足モトノ水ニハ
コドモノ死ンダ頭ガノゾキ
カハリハテタ スガタノ 細イ眼ニ
翳(カゲ)ツテユク 陽(ヒ)ノイロ
シヅカニ オソロシク
トリツクスベモナク

----
原 民喜
 1905年、広島生まれ。『原爆小景』より「日ノ暮レチカク」

2009.05.21

槍投

槍投(やりなげ)

                   村野四郎

 あなたの狙うのは何です
 新しい原始の人よ
 ふるえながら光は飛んだ
 その方向で
 突然おそろしい喚きごえ
 ごらん
 背中に槍をたてられ
 一瞬にげのびようと蹌くもの
 しかし それも
 じきに静かになる。

2009.03.16

季節のたより

春嵐井伏鱒二の詩集繰る

              朝倉晴美

今日の新聞に載っていた「季節のたより」で紹介されていたもの。
選者は坪内稔典氏です。
氏はこの句と共に井伏鱒二の漢詩翻訳も紹介しています。

井伏鱒二の『厄除け詩集』を開こう。

ハナニアラシノタトヘモアルゾ
『サヨナラ』ダケガ人生ダ。

漢詩「勧酒」の翻訳。

これを読んだら、詩集を読みたくなるではありませんか。

井伏鱒二全詩集 (岩波文庫) 厄除け詩集 (講談社文芸文庫)
Amazy

2008.12.08

精神のランニング

新川和江さんの「詩が生まれるとき 10」のタイトルが“精神のランニング”でした。月刊「みすず」12月号に掲載されています。

詩のタイトルは「詩作」。一部、最初の方を引用します。


はじめに混沌(どろどろ)があった
それから光がきた
古い書物は世のはじまりをそう記している
光がくるまで
どれほどの闇が必要であったか
混沌は混沌であることのせつなさに
どれほど耐えねばならなかったか
そのようにして詩の第一行」が
わたくしの中の混沌にも
射してくる一瞬がある

2008.10.04

告知

アントニア
お前の椋鳥は帰ってこない
もう歌うのはおやめ
歌えば病がもっと深くなる

アントニア
耳を澄ませてごらん
夜が船出する音が聞こえる
遙かな時の淵まで航く舟だ

ミラクル先生の薬は副作用が強すぎる
自分の歌がさぞ美しく響くことだろう
だがアントニア
君が歌い続ければ
必ず死に至るだろう
それが君の深い病だからだ

しかしアントニア
歌ってはいけないと
君に命じることはできない
歌いながら眠りの床に就くくのが
君の最後の願いなのだから

  境野 勝詩集 『告知』(ふらんす堂)  舟歌 ―ホフマン物語より―

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私信

えふぽ時代のハンドルで呼ばせていただくと、
パパ、『告知』を今日、受け取りました。
どれも粒ぞろいです。
Rさんなんて、いままで読んだどの詩集より好きだと言ってます。
おくさまへ、あらためて心から哀悼を。

さかな 10月4日

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